ウィジングスの新製品「ScanWatch」がヨーロッパで発売されました。日本での発売も決まってはいますが、詳しいことはまだわかっていません。ではいつ発売するのか。全部の機能は使えるのか。今回は情報を整理し、いつどのような形式で発売されるのか予想しようと思います。
ScanWatch の概要
ScanWatch とは、心拍数だけでなく SpO2(血中酸素飽和度)と心電図も測定できるようになったウィジングスの新しいスマートウォッチです。特徴は測定だけじゃなく「異常検知」ができるところ。心電図から心臓の異常(心房細動)を、SpO2 センサからは睡眠時無呼吸症候群を検知する機能が入っています。
おひろめは1月。9月7日にヨーロッパで発売開始しました。世界各国で発売されないのは法律の問題です。医療的な機能を使うには各国で認可が必要になります。ヨーロッパで認可が下りたため発売が始まったというわけです。北米や日本では現在認可を取ろうと進めている最中です。
なぜ日本で発売できないのか?
法律は国によって違います。日本の場合はどうか見ていきましょう。詳しくはないのでわかる範囲で調べてみました。
日本で医療機器を使うときに出てくる法律が「薬機法」(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)です。事前に審査があり、企業の登録や科学的審査など様々な手続きをこなす必要があります。医療用にきちんと使用できることを証明するには時間がかかるので、仕方ないことではあります。
(ちなみにスマートウォッチを発売するときにはもう一つ法律があります。決まったルールにのっとって電波を送受信していることを証明する「電波法」です。ScanWatch は6月15日にすでに認可を取得しています。発売の準備は進んでいるみたいですね。)
他の例を調べてみる
SpO2と心電図を搭載しているスマートウォッチは他にもあります。他製品はどうしているのか。調べてみましょう。
SpO2(血中酸素飽和度)
まずはSpO2センサを見てみます。SpO2センサはガーミンの一部スマートウォッチに搭載されている機能です。ガーミンのHPを見てみます。
血中酸素飽和度(SpO2)の計測機器は、現在、日本国内においては薬事法上管理医療機器(クラスⅡ)に分類されています。
このため、海外ではその機能を有する製品であっても、日本国内ではお使いいただけないよう機能を停止しております。(ガーミン公式HPより引用)
ガーミンの場合、認可がないので使えないようにしています。SpO2センサが内蔵されていても、機能を使えないようにすれば発売するのは問題ないようです。
ではフィットビットの場合はどうでしょう。
推定酸素変動量は、血中酸素飽和度の変化を推定したものです。(中略)
お使いのFitbitデバイスは医療用途ではありません。すべての質問や健康に関する問題は、医療の専門家に必ず相談してください。
(フィットビット公式HPより引用)
なぜガーミンと違い使えるのでしょうか。どうやら一般的なSpO2よりも低めな性能なようです。正式なSpO2ではないから医療用途には使えない、それなら問題なし! という判断をしていると。なるほど。
心電図
次は世界一売れている時計、アップルウォッチです。2018年9月に発売されたアップルウォッチ4には心電図センサがついており、アップルは認可取得を目指し働き続けていました。そしてつい最近の9月4日、とうとう認可が下りました。現在はまだ使うことができませんが、今に使用可能になるでしょう。
ちなみにスマートウォッチで日本の認可が下りたのは史上初だそうです。一つ実例ができたのでこれに他メーカーも続きやすくなったのではないでしょうか。アップル頼もしい。しかし2年もかかるのか……。
日本での発売がどうなるか予想する
ではScanWatchの日本発売はどうなるでしょうか。日本のウィジングスは、ScanWatch がヨーロッパで発売されたタイミングで声明を出しています。
日本のユーザーの皆様へ。 「ScanWatch」の日本でのリリースに向け尽力しております。医療機器としての認証が地域によっては数ヶ月またはそれ以上に及びますが、2020年内には「ScanWatch」のよりライトなバージョンを展開できますよう努めてまいりますので、今後の情報にご期待ください。
(ウィジングス日本公式ツイッターより引用)
この情報をまとめてみます。
- ScanWatch は日本で発売される準備中
- 日本の医療認可を取る予定
- 「ライトなバージョン」で発売する予定?
ScanWatch は日本でも医療認可を取ろうとしていることが改めてわかりました。心室細動や無呼吸を検知する機能がつくことを考えると、たしかに認可を取るのが妥当でしょう。
あと気になるのは「ライトなバージョン」が何者なのかです。日本で発売できるライトバージョンというと、「一部センサを減らしたバージョン」がぱっと思い浮かびます。しかし、センサの一部を減らすとなると新たに設計するコストがかかります。日本での ScanWatch の販売台数はそこまで多くないと思われるので、作り直すには割が合わないといえます。
そこで有力なのが、「センサの機能を使えなくして発売する」ことです。アップルウォッチの前例もあります。「ライト」という表現がちょっと引っかかりますが、現実的なのはそのあたりだと思います。
まとめ
ScacnWatch は今年中に日本で発売予定です。一方医療認可は取得を申し込んでいる途中です。認可には時間がかかるので、日本では認可が通るまで心電図とSpO2が使えない状態で発売されると予想されます。ScanWatch はぜひ使ってみたいので今年中の発売が楽しみです。
参考文献
- ScanWatch(ウィジングス)
- Apple Watchの心電・心拍モニター機能が医療機器承認を取得(日経XTech)
- 心電図機能が承認された「Apple Watch」、販売方法は? 厚生労働省に聞く(ケータイWatch)
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