「Fitbit SenseはEDAセンサを世界初搭載」は誤りだった

フィットビットから複数の新製品が発表されました。その中でも一番の話題は「Fitbit Sense」。

一番の特徴は皮膚を流れる微弱な電流を測定する「EDAセンサー」がついていることです。これによりストレス測定の精度がより高くなるとのこと。さらに、この記事には「EDAセンサーを搭載する世界初のスマートウォッチ」と書いてます。これはすごい。

Fitbit、皮膚電気活動センサーを搭載したスマートウォッチFitbit Sense発表 - Engadget 日本版
フィットネストラッカー大手のFitbitが8月26日、スマートウォッチの新モデルFitbit SenseおよびFitbit Versa 3、フィットネストラッカーのFitbit Inspire 2を発表しました。

でもよく考えると違和感があります。皮膚の微弱な電流は「ガルバニック皮膚反応」という名前で昔から知られているものです。かつてのうそ発見器でもこの技術が使われていました。つまりこの微弱な電流を測定するセンサは使い古された技術なのです。そして新しくない技術はたいてい先駆者がいます。

(※今回の内容はハイブリッドスマートウォッチとの関係は薄いです。)

実際に調べてみた

皮膚電流のセンサを使った製品はすでにあるんじゃないか。調べてみるとあっさりと見つかりました。

2014年に発売された「Microsoft Band」。

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同じく2014年に発売された「Jawbone UP3」。
http://s-max.jp/archives/1639251.html
※「スマートウォッチではない」との指摘を受け消しました。

そして2016年にクラウドファンディングが行われた「Sleepman」。

疲れを可視化!ウェアラブル睡眠モニター「Sleepman」は居眠り運転防止にも使える | Techable(テッカブル)
なかなか寝つけない、眠りが浅いなど睡眠に関する悩みは生活全般に影響する。日中に猛烈な眠気に襲われたり、倦怠感から仕事の効率が落ちたり。 そんな経験をしたことのある人は要チェックのガジェットがクラウドファンディングサイトK...

あっけなくありました。しかも複数。

Fitbit Senseよりも前にEDAセンサーを搭載するスマートウォッチが存在したことがわかりました。つまり、先ほどの記事は誤報ということになります。

では何が世界初なのか?

では「世界初」となぜ間違って書いてしまったのでしょうか。こういうときはソースとたどるのが一番です。公式のプレスリリースを見てみます。

フィットビット(NYSE:FIT) は本日、Fitbit Senseの発売を発表しました。当社史上最も進化したヘルススマートウォッチである本製品は、ストレス管理に役立つ皮膚電気活動(EDA)センサーを搭載した世界初のスマートウォッチです。
公式プレスリリースより引用)

なるほどわかってきたぞ。「世界初」が正しいと仮定すると、この文章はこう伝えたいのでしょう。

「EDAセンサーを搭載したスマートウォッチは過去にもあったけど、ストレス管理に使う目的でEDAセンサーを搭載したのはこれが世界初だ」と。

そういう目で過去の製品を見直してみると、たしかにさっきの3製品はストレス計測に使われていませんでした。それぞれの記事によると、「Microsoft Band」は手首に装着しているかの判定に、「Jawbone UP3」と「Sleepman」は睡眠トラッキングにそれぞれ利用しているとのことでした。

つまり、「世界初」の言葉自体は間違っていなかったということです。ただ書き方がすごく誤解を招く書き方だったと。これはプレスリリースの書きかたが悪い気もします……。

他サイトも合っているか調べてみよう

せっかくなので各サイトのファクトチェックをしてみましょう。主要なガジェットサイトは合っているでしょうか。

「EDAセンサー搭載が世界初」と書いてある(誤報)
世界初にふれていない(問題なし)
「EDAセンサをストレス管理目的に搭載するのは初」と書いてある(問題なし)

2/3のHPは合っていました。まちがっているHPは意外と少なかったです。ただ、ガジェット分野で最も有名な「Engdget」と「Gizmodo」の両方が間違えているのは少し心配になります。

まとめ

「Fitbit Sense」は「ストレス測定用途にEDAセンサを使っている初のスマートウォッチ」です。ストレス測定は心拍センサでも可能ですが、EDAセンサによって心拍以上の高精度が期待できるなら他メーカーも検討する可能性は十分あります。スマートウォッチ関連の技術として今後も要注目です。

(※本稿はnoteの記事を加筆修正した内容です。)

コメント

  1. 通りすがりのガジェッター より:

    健康管理リストバンド、リストバンド型活動量計、ウェアラブル睡眠モニターにはEDAセンサーが搭載されていたのでしょうが、スマートウォッチ製品としては初なので別に誤りではないと思います。
    表示機能が無く時刻が分からない製品を含めてスマートウォッチに分類しているこの記事の方が”誤報”であり”誤りだった”のではないでしょうか。

    購入検討中のFitbit senseで検索すると割と上位に来るサイトなので気になりコメントさせて頂きました。

    • awaumi より:

      ご指摘ありがとうございます。

      >>表示機能が無く時刻が分からない製品を含めてスマートウォッチに分類しているこの記事の方が”誤報”であり”誤りだった”のではないでしょうか。

      たしかに画面がないスマートバンドはスマートウォッチとは違いました。「Jawbone UP3」は記事から消しておきます。

      >>スマートウォッチ製品としては初なので別に誤りではないと思います。

      一方で、スマートウォッチの定義については諸説あります。本HPでは「活動量計(アクティビティトラッカー)」もスマートウォッチの分野に含まれると認識しています。理由は、一般的にスマートウォッチは広義な意味を持っているからです。例えばWeblioでは「腕時計と同じ要領で手首に装着して用いられるウェアラブルデバイスの総称である。」、Wikipediaには「小型のタッチスクリーンとCPUを搭載した、多機能な腕時計型のウェアラブルデバイス。」と書いてあります。
      この定義で考えると、「Microsoft Band」はスマートウォッチに当てはまります。そのため、EDAセンサ今回スマートウォッチはFitbit Senseが初ではないと判断しました。
      (「Sleepman」はディスプレイがオプションなのでボーダーラインぐらいでしょうか)

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